< 一覧に戻る

事業に大きな影響をもたらした出会い

 日本酒産業に身を置いて12年。

これまで、たくさんの素晴らしい出会いに恵まれてきました。とくに酒蔵の皆様との出会いは、経営者としての思想や事業の方向性に強い影響を与えています。

今回は、数多ある蔵元とのエピソードの中から、菊水酒造(新潟県)の髙澤大介社長との話を紹介します。

菊水酒造は「菊水ふなぐち」や「菊水の辛口」といった商品で知られる、全国的に有名な酒蔵です。製造量は1万石を超え、アメリカを中心に海外展開も積極的に行っています。

髙澤社長に初めてお会いしたのは2014年。私が菊水酒造に伺った時のことでした。気さくで朗らか、さらにユーモアがあって「あたたかい方だな」という第一印象でした。

その素敵なお人柄に、当時28歳の私はとても感動しました。ある日、髙澤社長に経営論をお聞きする機会がありました。その言葉は、今でも私の経営哲学に反映されています。

私が「日本酒業界はまだまだ苦境ですね」と話した時、髙澤社長はこうおっしゃいました。「経営者の仕事が何かと言ったら、可能性を見出すことなんですよ。それをやめて、『先行きが不透明なこの業界』『非常に厳しい状況が続きますが』なんて、言って良いのかな。そんなこと、恥ずかしくて言えないよな。そんなことを言う暇があるのなら、『こうやってお客様を喜ばせるんだ』『こうやって面白くしていくんだ』と気を吐くのが、経営者の仕事なんですよ」

どんな状況にあっても、腐らず、悲観せず、他責にせず、希望を見出して前進していく。実態として消費量が下がっている日本酒産業にありながら、経営者として力強い覚悟を持っている髙澤社長の姿に、自分も常にそんな経営者でいようと心に決めました。

この他にも髙澤社長とのエピソードは枚挙にいとまがありませんが、特にこの時の言葉には強い影響を受けました。

2023/04/28

SAKE HUNDRED
Founder
生駒龍史

このページをシェアする