投資と成長──日本酒産業に新たな視点を
SAKE HUNDREDはスタートアップ企業として、投資家の皆様から資金をお預かりし、成長を目指しています。そしてこの度、さらなる事業拡大を目的に、6億円の資金調達を発表いたしました。これにより累計調達額は約24.4億円となります。大変多くの期待を背負っていることに、身が引き締まる思いです。
一般的にスタートアップは、投資を受けながら事業を拡大し、社会に新たな価値を生み出すことを目指しますが、日本酒産業における資金調達は、まだまだ一般的なものではありません。
日本酒は免許産業であり、酒蔵の多くは代々バトンをつないで営まれてきた家業です。ベンチャーなどの新規参入も限られるこの産業では、そもそも株式による資金調達という概念自体が理解されにくいかもしれませんが、日本酒の未来をつくるうえで、非常に重要な選択肢であると考えています。
X(旧Twitter)やUberといった振興企業は、投資家の資金を活用しながら社会を変革し、大きな成長を遂げてきました。投資を受けることは、企業の株式の一部を譲渡し、上場や売却を通じて投資家に還元する責任を負うことを意味します。しかし同時に、事業を大きく飛躍させるための「ガソリン」を得ることでもあります。
また、投資家のサポートを受けることでPRや採用の強化につながり、社会との接点を築くきっかけにもなる。信頼も信用もゼロから築くスタートアップにとって、これには非常に大きな意義があります。そして何よりも私が最も価値を感じているのは、日本酒産業に「投資家」と「起業家」という新たな視点をもたらすことです。
日本酒の世界では、長年「造る」「卸す」「売る」「飲む」というように固定化された役割のなかで産業が構築され、それがすっかり
根付いていました。そこに新たに「起業する」「投資する」という視点が加わることは、産業の可能性を大きく広げると考えているのです。
アメリカのスタートアップ業界が多くの成功例を生み出している背景には、参入者の多さがあります。新しい挑戦者が増え、競争と革新が生まれることで、業界全体の成長につながっているのです。一方、日本酒業界は参入障壁が高く、新規参入は極めて少ない。直近でも「清酒の製造業免許が70年間新規発行されていない」というニュースが話題になりました。これが示すように、新たなプレーヤーが事業を始めること自体が極めて難しいのが現状です。
しかし、もし熱意ある人たちが投資を受け、その力で新しい日本酒の価値を社会に届けられるようになれば、想像もしていなかった未来が広がるかもしれません。そんな未来を思い描いたからこそ私たちは、資金調達を行って資本市場の中で成長する道を選びました。道半ばではありますが、私たちの挑戦によって、新たな参入者が増えていくことを願っています。
この度の調達資金は、皆様に驚きと喜びをお届けする取り組みや、日本酒の未来を切り拓くアクションに充ててまいります。どうぞ、ご期待ください。