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口うるさくも大切なこと

私は几帳面とは到底言えない性格です。良く言えばおおらか、悪く言えばおおざっぱ。けれど、商品やサービスに関しては、繊細なこだわりを持っています。

たとえば、レストランやイベント会場でお客様に商品を提供する場面。
お酒がグラスに注がれてから、司会者の話が長引いたり、対応に時間がかかったりして、お客様が口にするまでに時間が空いてしまうと、どうしても落ち着かない気持ちになります。なぜなら、日本酒は温度ひとつで表情が変わるもの。最高の状態でお愉しみいただきたいという確固たる意思があるからです。

私たちは商品それぞれの最適な温度を徹底的に検証し「この温度がお客様に最も喜んでいただける」という確信を持ってお届けしています。すべてを管理することは難しいですし、多少の温度変化で味わいが大きく崩れるわけではありませんが、私たちが提供する場においては、やはり完璧な温度で飲んでいただきたい。

3年ほど前、そのこだわりを強くする出来事がありました。
雑誌の企画で、ミシュランレストランのシェフに料理を作っていただいた時のことです。撮影後に料理をいただく流れでしたが、撮影が少し長引いてしまいました。その際、シェフが語気を強くしてこう言いました。

「早く撮影を終わらせて食べてください。料理が冷めてしまいます」

普段は温厚で紳士的な方だっただけに、その強い口調に驚きましたが、自分が作った料理が冷めていく光景は、プロフェッショナルとして許せないのだと気づきました。
私はその姿勢に深く敬服し、自分自身も、商品の提供環境に細心の注意を払おうと心に刻みました。

ややもすると、口うるさいと思われるかもしれません。
けれど、ブランドの姿勢として、常に「ベストな状態で飲んでいただく」ことにこだわる。それこそが、商品の価値を最大限に引き出す方法だと考えています。
これからもお客様に最高の体験をご提供するために、そのこだわりを大切にしていきます。


2025/02/27

SAKE HUNDRED
Founder
生駒龍史

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