ブランドオーナー生駒龍史と、日本酒の出会い
SAKE HUNDREDブランドオーナーの生駒龍史です。
この“Letters from the Founder”では、私自身の言葉で、SAKE HUNDREDの世界をご案内いたします。初回は、私と日本酒の出会いについてご紹介します。
2018年にブランドを創業して以来、多くの方々からいただいた問いがあります。
「SAKE HUNDREDとは、何者なのか」
その答えは、端的に言うならば「お客様の心を満たし、人生を彩ることを存在意義とした日本酒ブランド」です。
日本酒そのものの美味しさはもちろんのこと、お客様の幸福に貢献するために何ができるかを、徹底的に考えてきました。
私は、どのような事業であっても、企業というのは社会の発展や世界の安寧を志す集団であるべきだと思っています。
SAKE HUNDREDも、発展と混沌が共存する現代社会において、日本酒という素晴らしい文化をもって世界中の人々の幸福に貢献することを目指しています。
実は、私はお酒に弱く、ビール1杯でも顔が真っ赤になってしまいます。日本酒なんてもってのほか。危険な飲み物だとさえ思っていました。しかし、2011年の夏。当時25歳だった私はある日本酒に出会い、その美味しさに震えるほど感動し、人生が変わりました。
それは、熊本県酒造研究所が造る「香露」という日本酒です。
全国的に有名というわけではないかもしれませんが、大変素晴らしいお酒です。深いコク、まろやかでやわらかい旨味。その落ち着いた味わいに、これまで自分が飲んだ日本酒は何だったのかと、衝撃を受けました。
そして、この「香露」という日本酒について調べることで、日本酒にさらに興味を持つことになります。
熊本県酒造研究所の初代所長は、“お酒の神様”とも呼ばれる、野白金一氏。明治から昭和中期にかけて、日本の酒造技術の発展に多大なる貢献をした人物です。彼は蔵人の経験や勘に依存した暗黙知をベースとした酒造りから、科学やデータを重視した近代的な酒造りへと、日本酒産業を改革していきました。
日本酒を搾る際の手法である「袋吊り法」をはじめ、近代の日本酒造りでは当たり前となったさまざまな手法を発明しています。そして、今日の日本酒産業の礎となった野白氏の日本酒こそが、私が感動した「香露」なのです。
日本酒は長い歴史をもつ伝統産業ですから、野白氏のような“改革”のイメージは当時の私にはなく、だからこそ「香露」のストーリーは衝撃的でした。初めて好きになった日本酒が「香露」でなかったら、今の私はいなかったかもしれません。この出会いをきっかけに、私の日本酒を探求する長い旅が始まったのです。