SAKE HUNDREDは富裕層ビジネス?
「SAKE HUNDREDは富裕層向けのビジネスですよね」
特に日本酒業界の関係者からそう声をかけていただくことがあります。
ご好意からの言葉だと承知しつつも、自分たちの感覚との間にどこか拭えない距離を感じてきました。今回はその違和感の理由について、率直に言葉にしてみたいと思います。
私たちは、SAKE HUNDREDを「富裕層向けのビジネス」と捉えたことは、創業以来一度もありません。
3万円や4万円という価格帯は業界の相場感からすれば確かに高額ですが、視野を広げてみれば、旅行先での一泊や、星付きレストランでの一度の食事に支払う金額と大きくは変わりません。多くの方が特別な体験のために、納得して支払っている価格帯です。
そして何より大切なのは、「富裕層が買う」のではなく、「価値があると感じた人が買う」という事実です。
学生がアルバイトで貯めたお金で「ルイ・ヴィトン」の財布を手にする。その人にとってその財布は、単なる収納道具ではなく、自分が信じる世界を表現する一部です。同じことが、私たちの日本酒を「特別な瞬間にふさわしい」と選んでくださる方々にも当てはまります。
私たちのお客様は、決して「年収」や「属性」といった言葉でひとくくりにはできません。SAKE HUNDREDが描く世界に共鳴し、自分の人生のひとときをこの一本に託してくださる、一人ひとりの個人の集まりです。
それを証明する、ひとつのデータがあります。
過去にお客様にご回答いただいたアンケートで、趣味嗜好とともにおおよその所得についてもお伺いしました。回答の半数以上を占めていたのは、いわゆる「富裕層」と呼ばれる限られた層ではなく、日本の平均的な所得層の皆様でした。この事実は、SAKE HUNDREDが「富裕層ビジネス」ではないことを、何よりも明確に物語っています。
では、なぜ業界の方々から「富裕層ビジネス」と語られることが多いのでしょうか。
それは、産業が辿ってきた歴史の必然なのかもしれません。日本酒は長らく精米歩合や級別など、定量的な基準で価値を測られてきました。その文脈では、3万円という価格は「相場の何倍」という比較でしか捉えられず、「払える人=富裕層向け」という解釈に行きついてしまうのだと思います。
しかし、その見方はブランドが提供する価値の本質を見ていません。
価格は、その多層的な価値に対して付けられた一つの指標であって、価格そのものが価値を生み出しているわけではありません。
私たちが届けているのは、味わいはもちろん、ブランドの思想、開栓から飲み終えるまでの体験、商品にまつわる物語、そして世界観に共鳴してくださる方々との関係性。そのすべてです。価格は、そうした多層的な価値の結果にすぎません。
お客様の財布の中身ではなく、心のあり方と向き合う。これこそが正しい考えであるべきではないでしょうか。
財布の中身でお客様を定義した瞬間、ブランドは自らの世界観を磨くインセンティブを失い、それはラグジュアリーではなく、単なる「高額商品」へと成り下がってしまうからです。
私たちが向き合いたいのは、その方の人生のなかでSAKE HUNDREDが何を意味するのか。その一点です。
ある方にとっては、長く頑張ってきた自分への祝杯。ある方にとっては、人生で一度だけの大切な乾杯。ある方にとっては、心から尊敬する誰かへの贈り物かもしれません。属性ではなく、その方の心の動きに誠実であること。起点はいつもそこにあります。
SAKE HUNDREDが描く世界に価値を見出してくださる、すべての方のために。
これからも、お一人おひとりの心の動きに寄り添いながら、誠実に価値を積み重ねてまいります。









